アート作品売買の現場の貴重な情報
日本においてはマーケットが小さく、人数も少なく、そのためにほとんど世に出てこないアートの実際の現場の情報。特にオークションの現場の話など皆無に等しい。
そんな書籍事情の中、一億円単位で値が上がっていくオークション動画でもご紹介したオークション会社クリスティーズとともに、世界のオークション市場のアタマをはるサザビーズの日本法人代表取締役を務める石坂泰章氏が著したこの本の価値は高い。
ビジネス本ではなくアートビジネス紹介本
「美術手帖とは市場と最も離れたところにある月刊誌」
「胸ポケットにペンは入れない」
「弁護士のコレクターはあまりいない」
本のタイトルこそビジネス書をイメージさせるのだが、内実は自叙伝。脱サラ後画商をスタートし、サザビーズに就くまでの自身の軌跡をたどりながら、具体的な案件をモデルにその仕事の詳細が書かれており、作品売買の現場の匂いを感じられるとても貴重な本である。(こんなに書いちゃっていいのかなと思う部分もあったり。。)
どうもAmazonのレビューを見ていると、評価が低いのが気になるのだが、ユニクロの柳井さんが推薦していることもあって「ビジネス書」「仕事術」としてこの本を手に取る人が多いからではないかと思う。内容としては「ビジネス書」ではないし「仕事術」でもないので当然の帰結。
億単位の美術品を愛好する人たちはどういう人なのか?オークションの出品作品はどのようにして構成されるのか?作品の価格は一体どのようにして決まるのか?
ARTで飯食うことを志している方はもちろん、非現実感漂うARTの世界とそれを取り巻く富裕層の雰囲気を感じてみたいと思われる方にはぜひおすすめしたい。さらっと読めますよ。
Amazonでサザビーズ 「豊かさ」を「幸せ」に変えるアートな仕事術をみてみる。