美術・アート関係者との対談集
この本は芸術を生業にする作家、画廊主、ギャラリスト、美術館館長、オーク会社社長、文化財団理事長などと境屋太一氏との対談集。ゲストは以下のとおり。その名前を聞くだけでどんな話が飛び出すのやら楽しみな人たちばかりだ。
対談相手のアート人
- 河合隼雄(前・文化庁長官)
- 蓑豊(金沢21世紀美術館特任館長)
- 淺木正勝(東京美術商協同組合理事長)
- 倉田陽一郎(シンワアートオークション社長)
- 福武總一郎(ベネッセコーポレーション会長)
- 小山登美夫(小山登美夫ギャラリーオーナーディレクター)
- 安藤忠雄(建築家)
- 伊勢彦信(イセ文化基金理事長)
- 本江邦夫(美術評論家)
- 西松典宏(NHK新日曜美術館・元プロデューサー)
- 石塚邦雄(三越社長)
- 平山郁夫(画家)
『対話芸術のある国と暮らし』の概要
境屋太一氏は、自身が発表した『知価社会』というコンセプトで話を進める。それは人々の幸せの基準が、客観的で科学的で普遍的な『物の豊かさ』から、主観的で社会的で可変的な『満足の大きさ』に替わってきているという現状をあわらしたもの。
要するに人の幸せの価値基準が自分の外部によって決められるものではなく、自分の内部の価値のものさしによって決まる時代になってきたということ。満足ってのは自分が満足とさえ思えば成立するけど、物財の豊かさってのは自分が決めるようなもんじゃなく、社会が決めちゃうもの。
そんな時代に力を持ちうるのは芸術であり、美術・アートじゃないか、ってことで対談が始まります。
『対話芸術のある国と暮らし』のオススメポイント
横断的な生のアートの情報
そんな時代分析をもとに作家、財団、オークション会社、美術画廊、文化に力をいれる企業、ギャラリストたちと対談がスタート。このゲストのセレクションが境屋太一氏だからこそといった面々で、美術館関係者のチョイスとはぜんぜん視点が違っておもしろいし、そこがこの本の魅力のひとつ。横の世界のつながりが希薄なアート界だけに、美術に関わっている人間であっても、分野がちょいと違っちゃうだけでぜんぜん知らないってことがよくある。
境屋さんがチョイスしたメンバーはそんな横の軸を網羅するような幅広い人選だから、『目からうろこ的な情報』が随所にあって非常に有意義な本でした。
コレクターがどうしてあんなにもお高いアート作品買うのか不思議じゃないですか?
『チャレンジ』で有名なベネッセコーポレーションが、どうして直島なんて偏狭の地のド田舎に地中美術館をはじめとしたアートスポットを作ったのか知りたいくないですか?
またそんなことやって何の得があるのか疑問に思いません?
そんな具体的で新鮮な生のアートをひろーくふかく知ることができます。
この本のおすすめポイントは次の通り。
- 芸術、美術に関わる人たちを非常に幅広く集めている
- 文化的なプロジェクトの実情を具体的に知ることができる
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