このサイトで度々申し上げて来たことだが、アート絡みの本を読むならアーティストが書いた本を読むのがいい。評論家がかく本ではない、さりとて画家でも彫刻家が書く本でもない。アーティストが書く本だ。
最良なのは対談やシンポジウムなど話コトバが文字になっているもの。なぜなら彼らは自分の考え方や思想を意気込んで文字にしようとすると、往々にして非常に難解な文を書き上げてしまう。それは彼らの考えている、感じていることが如何に深く、それを一言で表せる「言葉」が存在していないかということを物語っている。そんなわけで話コトバが文字になったものがおすすめだ。
そんななか近年読んだアート関係の本で最もおもろい本に最近出会った。
それが本書『世界アーティストサミット』だ。
『世界アーティストサミット』の概要
これは京都で開かれた、『アートはアフリカの飢えた子供を救うことができるのか?』 という問題意識をもった日本を代表するアーティスト宮島達男が企画し、世界中で活躍するアーティストたちを一同に集め上げディスカッション、そして具体案を模索した『アーティストサミット』の記録である。
上記命題はサルトルが投げかけた『文学は…』を宮島達男が引き合いに出したもので、要は『アートは如何なる力を持ち、そしてそれは世界の諸問題を解決できるのか?またそれはどのようなアプローチになるのか』といったことをあーでもない、こーでもないと話し合ったものを本にまとめたというもの。
参加アーティストがまた豪華。宮島達男の企画力を物語っている。
- ジェーン・アレキサンダー
- 蔡強
- アン・ハミルトン
- カチョー
- トーマス・シュトゥルート
- 椿昇
- 宮島達男
『世界アーティストサミット』のオススメポイント
私はこれからの時代のアーティストは決定的にそれ以前のそれとは変わっていくような予感がしている。詳細な言及はやめときますけど、『なんかへんてこなものをツクルヒト』 というイメージが消えていく方向の仕事をするヒトがアーティストになるような気がしているのです。
このサミットの目的自体が上記のようなアーティストの存在を提唱するようなところがあり非常に興味深い。『現状のアートの問題点と今後への課題』を考える上でなんらかの示唆を与えてくれる本。
まぁ一番のオススメポイントはあんだけのアーティストが集まっちゃって、『アートが世界の諸問題に対してどうアプローチするか』を具体的な提案を含めて発言しているわけで、そこから生まれる発想はとても勉強になる。
正直この本は心から読んで欲しいと思う。
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