フォーマリズムとは、表現された内容や主題ではなく、その形式を重視しそれを分析することで作品を解釈しようとした批評方法のこと。純粋な視覚性を重視する。人間中心主義=ヒューマニズムの否定であり、具体的には作者の感情や意図、社会背景、作品の印象などを排し作品解釈を行う。
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グリンバーグによる米国モダニズムの完成
アメリカの批評家クレメント・グリンバーグ(Clement Greenberg, 1909年 – 1994年)は、フォーマリズムをモダニズム絵画の中心に据えた主張を繰り返しモダニズムの価値基準を構築、ジャクソン・ポロックを最高の美術家と評するなどして抽象表現主義を擁護し、戦中・戦後の美術界におおきな影響を与えた。
グリンバーグの主張
39年の「アヴァンギャルドとキッチュ」40年の「新しいラオコーンに向けて」の両論文において以下のように意見表明をしている。
- キャンバスの外=社会的な現実に言及しない
- 色・形・線などの構成のみで如何に自律的な世界を作るか
- 具象=物語の構成=悪
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抽象化された絵画は観客の批評能力を高め、具象表現を多用する大衆芸術(イラスト、ジャズ、コミック、映画)は観客にその場しのぎの楽しみを与えるだけでその批評能力を後退させる「キッチュ」であるとして否定。戦後世界を折檻するアメリカ発アートのはじまりがこのグリンバーグである。