以前本サイトの『輪切りの牛の親子のホルマリン漬け-ターナー賞の歩み展-』でもご紹介したように、日本でもターナー賞(Turner Prize)の認知が広まってきているかと思いますが、昨年末2009年度のターナー賞(Turner Prize 2009)が発表され画家のリチャード・ライト氏(Richard Wright)がその栄誉を受賞しました。ルネッサンス期のフレスコ画の技術に金箔を用いた抽象画を作品とする画家で、実物を見ていないのでなんとも言えないのですが息をのむほど美しいとのこと。
ターナー賞とは?その歴史と今年のノミネーターたち
ここで少しターナー賞についてご説明しますと、ターナー賞(Turner Prize)とは、50歳以下のイギリス人美術家、もしくはイギリス在住のアーティストに対して毎年贈られる世界でも最も注目されるアートの賞で、英国の国立美術館テート・ギャラリーが運営しているものです。
選考の方法は、その年に活躍したアーティスト4人がノミネートされ、テートブリテンに展示、審査員が受賞者を決めるというもの。
ちなみに年齢制限があって50歳未満となっており、今回受賞したリチャード・ライト氏は49歳だったそうでギリギリの栄誉だったみたい。
今回のノミネーターは以下の4人。
リチャード・ライト(Richard Wright)
cphoto credit: Daylife
エンリコ・デイビッド(Enrico David)
cphoto credit:tate.org.uk
Enrico David
Wayne Shire 2007
Courtesy Galerie Daniel Buchholz, Koln/Berlin
ロジャー・ヒオンズ(Roger Hiorns)
ちなみに僕はこのロジャー・ヒオンズしか知りませんでした。。この人は尋常じゃないんですが、75,000Lもの硫酸銅を天井から室内に流し込んで満たし、それを再び吸い出して部屋全体に硫化銅の青い結晶を析出される作品を制作。その費用日本円にしておよそ2億円。
cphoto credit:tate.org.uk
Roger Hiorns
Seizure 2008
A Jerwood/Artangel Commission Harper Road, London. Courtesy Corvi-Mora, London
‘A’holic daysさんに写真が大量に掲載されてましたので興味のある方はどうぞ。
ルーシー・スケア(Lucy Skaer)
cphoto credit:tate.org.uk
Lucy Skaer
Black Alphabet (after Brancusi) 2008
26 dust coal sculptures
Courtesy of the artist and doggerfisher, Edinburgh. Photography credit: Serge Hasenbo”hler
リチャード・ライト受賞関連動画
YouTubeなんかにリチャード・ライト氏のインタビューがアップされてましたのでこれも貼りつけておきますね。
ターナー賞受賞者リスト
参考までに今までのターナー賞の受賞者とその作家のオフィシャルサイトへのリンクを以下にあげておきます。
- 1984年 – マルコム・モーリー(Malcolm Morley) 絵画(油彩)
- 1985年 – ハワード・ホジキン(Howard Hodgkin) 絵画(油彩)
- 1986年 – ギルバート&ジョージ(Gilbert and George) フォトモンタージュ
- 1987年 – リチャード・ディーコン(Richard Deacon) 立体(合板+ビニール)
- 1988年 – トニー・クラッグ(Tony Cragg) 立体(ミクストメディア)
- 1989年 – リチャード・ロング(Richard Long) ミクストメディア(泥+水)
- 1990年 – スポンサーがなく中止
- 1991年 – アニッシュ・カプーア(Anish Kapoor) 立体(砂岩+顔料)
- 1992年 – グレンヴィル・ダヴィー(Grenville Davey) 立体(鉄)
- 1993年 – レイチェル・ホワイトリード(Rachel Whiteread) インスタレーション(コンクリートを流し込んだ家の内側)
- 1994年 – アントニー・ゴームリー(Antony Gormley) 立体(鋳鉄人型)
- 1995年 – ダミアン・ハースト(Damien Hirst) 立体(ホルマリン漬けにした牛と子牛)
- 1996年 – ダグラス・ゴードン(Douglas Gordon) ビデオ・インスタレーション
- 1997年 – ジリアン・ウェアリング(Gillian Wearing) ビデオ・インスタレーション
- 1998年 – クリス・オフィリ(Chris Ofili) 絵画(キャンバスに油彩、アクリル、フォトコラージュ、象の糞)
- 1999年 – スティーヴ・マックイーン(Steve McQueen) ビデオ・インスタレーション
- 2000年 – ヴォルフガング・ティルマンス(Wolfgang Tillmans) 写真によるインスタレーション
- 2001年 – マーティン・クリード(Martin Creed) インスタレーション
- 2002年 – キース・タイソン(Keith Tyson) ドローイングや立体によるインスタレーション
- 2003年 – グレイソン・ペリー(Grayson Perry) 花瓶
- 2004年 – ジェレミー・デラー(Jeremy Deller) ドキュメンタリー・ビデオ
- 2005年 – サイモン・スターリング(Simon Starling) 立体
- 2006年 – トマ・アブツ(Tomma Abts) 絵画
- 2007年 – マーク・ ウォリンジャー(Mark Wallinger) インスタレーション
- 2008年 – マーク・レッキー(Mark Leckey) 映像