以前私がちょっぴり制作をお手伝いをしていた例のからくり大時計が完成した。
そう、宮崎駿デザインと言われている汐留は日テレのからくり大時計だ。あれだけの規模の仕事にもかかわらず特に大きな事故もなく無事終わったことが何よりだ。ホントにお疲れ様でしたみなさん。
この汐留の日テレに設置された大時計は、このサイトで特集している鍛金という金属の板材を叩き加工する伝統的な工芸技術で作られている。
とってもマニアックな技法。。この大時計の場合は銅板を金槌で叩き、それを構造体に張り合わせていくことで形作られている。デザイン自体が非常に鍛金的発想の造形だ。
造形部分はすべて人の手による手作りである。
photo credit: masamunecyrus
作者の鯱丸邦生さんは三鷹のジブリ美術館のロボット兵の作者でもあり、ああいった造形スタイルが得意な作家さんだ。この規模のものを実作時間わずか1年余りで完成にこぎつけたことは作り手の立場から言うとご苦労様でしたと言うほかない。正直あんなもの一年という時間で作るなんて冗談じゃないって思ってしまう。
普段一人で作品を制作している私としては、あれほど多くの人たちが色んな意味で絡み合い(笑)、多大な費用を投じて作られたことはとても羨ましく思う。まあその分悪いとこも、考えなきゃならん部分もたくさん見えて非常に勉強になりました。
photo credit: masamunecyrus
自分はツクリテなので、なんとまあでかいものをつくったなあ。というのがまず第一の感想。とりあえずそういう目で見てしまう。その仕事内容がみると分かっ てしまうから、どれだけの労力がかかっているかにまず目を奪われてしまう。まぁ実際に制作をお手伝いしていたせいもありますが。鍛金をやっている人間から みればあれはとんでもない大仕事。
でも正直いうと、ひとつの作品としてみた場合、ちょっと微妙だなと思いました。色々思う所はあるんだけれども、客観的に見ると心のそこから「いいねーチョーカッコいい!!」とは言えなかった。
それは全体のバランスが悪かったからでしょう。
でか過ぎるが故に、時計全体を見る眼を作る側が持てなかったのだろうと思います。 もしくは全体のボリューム、空間をきっちり計画した上で細部の構造をデザインしたのではなく、細部のデザインの作業と全体の作業が同士進行してしまったせいではないかと思います。
具体的言うと、あまりにもひらべったい。あの大きさにも関わらずボリューム感がまるでない。壁画を見ているのと変わらないというか、レリーフのようで立体感に乏しかった。
足の部分と、時計の中心部分のあたりの作りは、あの大きさからみてとても納得のいく造形でかっくいいー!!と思ったのですが、それ以外の部分はすかすかと抜けて見えてしまう。 板材の薄さが出てしまっている。まあこれは鯱丸さんに感想を聞かれてしまったので、ご本人にも直接言ったことなんですが…(汗)
でも結局のところ、自分の身近な人が実際に仕事をしてる姿を見れ、そして手伝うこともでき、非常に勉強になりました。学ぶことが非常に多かった。なんといってもそういうひとが周りにいると刺激されるのが何よりの宝。感謝しています、そしてご苦労様でした。