世界中がネットワークによってリンクされ、その地理的な制限が無化された今、私たちの目の前には今まで以上に多くのモノが溢れかえっている。そしてそれらは、各々の商品を置いている店々を訪ね歩く必要もなく、茶の間であぐらをかきながらにしていとも簡単に比較検討ができる。
そんな時代に人は一体なにを判断の基準として購買活動を行うのか?
人はもはや高機能・低コストというだけではモノを買わなくなってしまった。そんな市場の行き詰まりに、産業界は「クリエイティブ」に目をつけ動き始めた。これを象徴するかのようにここ数年で「クリエイティブ性」をキーワードにした多くのオンラインサービスが次から次へと誕生してきている。
以下そんなクリエイター・アーティストの資金調達、作品販売をサポートするWEBサービスをまとめてみました。作品と言っても、彫刻。オブジェのようなモノから、音楽、コンテンツなど幅広いので、以下「モノ」に焦点をあてて紹介していきます。
クリエイターと買い手を繋いでくれるサービス
まずは、オンライン上で自分の作品を販売できるサイトをご紹介。
iichi
7月6日に始まったばかりのサイト。日本の大手広告代理店である博報堂が絡んでいて、どうやって事業の採算取るのかなと疑問だったのですが、サイトのソースコードを見ていたら対英語圏向けの設定になっており、おそらく今後英語版サイトが作られるのではないかと思います。そりゃそうよね。
松本クラフト推進協会も協力してるそうです。
http://www.iichi.com/
tsucuru
「たったの30秒、無料で自分のショップを開くことができます。」だそうです。この手のサイトはアマチュアマーケット感が出ちゃったりしますが、サイトのデザインがシンプルでいいですね。
http://tsucuru.com/
Etsy
2005年に米NY発でスタートしたハンドメイドマーケットプレイスEtsy(エッツィー)。驚くべきは登録会員数620万人、掲載商品650万点、2010年1~9月の販売高およそ170億円!国境を超えるが故の結果。
http://www.etsy.com/
アートメータ
面白法人カヤックさんが運営するアート・絵画の委託販売オンラインショップ。おもしろいのは絵の面積で価格が決まる測り売り形式で販売するトコロ。オンラインだけでなく恵比寿に実店舗も構えてます。
http://www.art-meter.com/
Craft Crowd
こちらは日本が世界に誇る地場産業都市である富山は高岡発の工芸専門のオンラインマーケットプレイスCraft Crowd。
http://www.craftcrowd.jp/
ハンドメイドチップ
まだベータ版のようですが、ここの特徴はツクリテと買い手の直接取引になるという点。間に運営会社が入らないので、現時点ではシステム利用料などの手数料は一切かからないそうですよ。
http://handmadechip.jp/
クリエイターの資金調達を助けるマイクロファンディング
今まで挙げてきたのはすでに存在している作品を販売するというもの。次にご紹介するクラウドファンディング、マイクロファンディングサービスとは、まだアイデア段階で制作のための資金がなくて作品が作れない、という立場のクリエイターのためのサービス。
あるアイデアを持つ人が、ネット上でそのアイデアをプレゼンし、これに共感してくれる小口の出資者を広く募って大量の資金を集める仕組み。
「すっごい良いアイデアがあるのに金がねぇ…」
そんなクリエイターのためのサービスと言ってよいでしょう。
出資者は大体以下のような形でその利益の還元を受けます。
- 寄付タイプ…一切リターンを求めない
- 特典タイプ…金銭以外のリターン(例えばイベントへの招待など)が得られる
- 投資タイプ…金銭的リターンが得られる
Kickstarter
まずはNY発のマイクロファンディングサービスKickstarter。
何か実現したいアイデアを持った人がそのプロジェクトについてのページを作成し自分のプロジェクトをプレゼン。目標金額を決め、出資金額ごとにプロジェクトが実現した場合の出資者への特典を設定します。
http://www.kickstarter.com/
CAMPFIRE
お次は日本版Kickstarterとも言うべきCAMPFIR。クリエイターのアイデアに共感したファン(パトロン)から、アイデアの実現に必要な費用を、少額ずつ集める事のできるプラットフォーム。
http://camp-fire.jp/
GREEN GIRL
マイクロファンディングサービスも星の数ほど出てきているような途上期ですので、GreenGirlでは「かわいい」と「女性」にフォーカスして差別化を図ってます。
http://green-girl.jp/
StyleFactory
テーブル、ソファ、照明、雑貨などのインテリア系アイテムが中心。デザイナーが製作した作品にユーザが投票し、一定数の票が集まると量産開始。その後サイト上で販売。
http://www.stylefactory.com/
玉石混交の世界でどう食うか?
さて以上クリエイターの”サヴァイブ”を助けてくれるウェブサービスを挙げてきましたが如何でしょうか?
一品モノの制作は実制作そのものの時間もそうですが、アイデア出しから構造検討、試作品制作と、ひとつのものを作るのに非常に多くのコストがかかるゆえに、量産品と比して販売価格は当然高くなります。
この手のサービスの多くは出展ないしは登録に審査がありません。というもの如何に多くのプレイヤーとユーザーを集めるかという点が事業運営側の目的の一つだからであり、これがWEB2.0以降のWEBサービス運営における鉄板戦略であるからです。
それ故に玉石混交の作品がズラーッと一同に並ぶことになるわけですが、ひとつの趣味として、また自分が作ったもので他の人と繋がりたいという思いで出品されるユーザさんも多いわけで、量産品と同等レベルの価格=利益がでない価格で販売されているものも多く見受けられます。
この玉石混交の世界でクリエイターは如何にして食うのか?
credit: keikondo
ブランディングがますますその重要性を帯びてきているのを感じますね。