わたくしたちのような社会になーんの必要もないゴミを作り出す(?)アーティストという種類の人々が常に考えなければならないことの一つが、 「どうやっておまんま食うか?」である。わたくしはマルクス主義者ではないが、経済というものが人々の行動、思考をある程度において決定付けてしまうこと は間違いのない事実だ。つまりお金は大事です、ということ。
まだ個人表現としての美術という概念が生まれる前のご時勢、つまり職業画家というポジションが存在していた時代においてはパトロンという、 そりゃあ神様みたいな人々がいらっしゃった。イタリアのメディチ家なんか有名ですな。彼らは美術品を集めまくり、かつ芸術家のパトロンとなり美術を発達させた(便宜上美術という言葉を使いますが)。まあ、裏を返せば己の趣味、好みをその時代の文化として植えつけたという言い方もできるわけですが。
photo credit: brandon shigeta
さてこのパトロンですが、現在もそのような方がいらっしゃる。死んだサメを水槽の中に入れた作品なんかで知られるダミアン・ハーストのパトロン、 チャールズ・サーチである。美術をやられている方でこの名前を知らない人はまずいないでしょう。自分の利益のために美術を利用している!、と非難 されることも多々あるようですが、アート界に彼ほど影響力を持つビジネスマンは他にいないでしょう。
彼の功績として一つ挙げるとすると、ダミアン・ハースト、ジリアン・ウェアリング等を始めとする YBA(Young British Artist)を美術界に知らしめたことであります。当時経済的環境も悪く華やかさにも欠けていたイギリス美術界に目を向け彼らを支援したのはほかでもないチャールズ・サーチでした。
もともと広告会社を経営していたサーチ氏は、その手法を美術界に応用することでビジネスを行なっています。 彼は若い名もなき芸術家の作品を大量に買取、自分のギャラリーで名前を売り、時期を見て高値で売る。 今でも、彼は美大の卒業制作展に足を運び、気に入った作品があればその作家の作品を総て買い取るのだそうです。
嗚呼、なんて素敵な響きだろう、、、
「気に入った作品があればその作家の作品を総て買い取る」
とは(笑)
是非多摩美の卒業制作展にも来てください。お待ち申し上げております。