コミュニケーションは不完全だという前提

コミュニケーションは不完全だという前提

無事に神奈川県美術展の搬出が終わりました。
見に来てくださったすべての方に運営をしてくださったすべてのスタッフに感謝いたします。
本当にありがとうございました!!


写真の男性は展示していたほかの作家さん。

アートは表現です。 その意味において、アートとは何某かを自分ではない他人に向けて発信するコミュニケーションの一種です。 作品制作の裏には、必ず伝達の対象となる相手がいる。

ツクリテの中にはよくこんなことを言う人がいる。
いいものを作れば必ず見る人にも伝わる
私はそういう考えが嫌いです。
コミュニケーションが自明のことだと思っている人間は正直好きではない。
努力して相手に伝えようとしたって、100%は伝わらないのがコミュニケーション。

このことは言葉についてもおんなじこと。
コミュニケーションは以下の順序で繰り広げられます。

  • 伝えたいことがある
  • 伝えるための形にする(規則に則して:例えば言葉というルールに従って)
  • 相手がその形になったメッセージを受け取る
  • それをルールに従って読み解く

ルールというのは自分勝手に表現するんじゃなくて社会的な決まりごと、例えば辞書や文法に従って表現し、聞き手もそのルールに従って解釈する。
この決まりごとを『コード』なんて言ったりします。

でも情報の発信者と受信者の間で、このコードが完全におなじなんてことはありえない。 おじいちゃんとロン毛の兄ちゃん、キャバクラのおねーちゃんと千葉県知事、建築現場で働く人と国連事務局の職員、 究極的には、すべての人の間にさまざまな程度のコードの違いがある。

加えてコミュニケーションはその環境にも左右されます。 例えばわたくし赤井が酒の席で、親しい友達に向かって『あほなやつだなぁ~能のない鷹はこれだから困る』 と言うのと福田首相(つい昨日決まりましたねー)が記者会見の場で質問してきた記者に向かって『あほなやつだなぁ~能のない鷹はこれだから困る』 というのとではおんなじ言葉ですが、その意味は大きく異なってきます。 赤井の場合で言えば笑っておしまいになりますが、 福田さんの場合は、辞職どころじゃすまないでしょう(笑)

このようにコミュニケーションってのは非常に不安定なもので、100%完璧な意思伝達というのは存在しないんです。これはどんなに親しい間柄でもそう。
コミュニケーションというのは必死の努力が必要不可欠なんです。 だから言えば伝わると考える人とか、自分がいいと思ったことは相手にも必ず伝わるって甘ったれたツクリテは好きじゃない。

すごく悲しいことだけど事実だからしょうがない。人に何某かを伝えるということは本当に大変なことなんだ、そういう前提の下にコミュニケーションすることが必要です。 まぁ日常会話のような、厳密になる必要がない場合はいいんですけどね。

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