カストロール1号開発プロジェクト。
バイクをこよなく愛する私としてはオイルメーカーのカストロールは家族さながら。
二輪最高峰の高級エンジンオイルPower1 R4 Racingを5年近く使い続けてるもので、彼らにとって見ればわたしはいい『お客様』である。
そんな私であるが、今この記事を書くことで今度は彼らの良いプロモータになりつつある。
実はオイルメーカーのカストロールがあほなプロジェクトを始動させていた。
その名も『カストロール1号開発プロジェクト神速!エンジン駆動フリーキックマシン』である。
説明するのも”どうでもいい感じ”なので、サイトをみてみてほしい。
彼らの言い分はこうだ。
『カストロールはワールドカップに向けて、エンジンを動力源に強力なフリーキックを放つマシン、カストロール1号の開発に挑戦中!完成までの道程を詳細に公開します。』
まあそのまんまなわけで特にひねりもなんにもないことがよくお分かりいただけると思う。
しかし重要なことは、このプロジェクト自体が(サッカーとはどうころんでもつながりようのないオイルメーカーが、ワールドカップのおいしい広告的おこぼれに与ろうとして必死にひねり出したある意味大成功・大逆転的なバイラルマーケティングだということは除いておいて)どうしようもなくくだらなく、かつ多額の費用を投じて遂行させている点にある。
『多額の費用』。。
わたしは以前からアートやデザインをはじめとして、あらゆる表現領域がエンターテイメント化していると言ってきた。(えらそうに言ってきた。)それはとりもなおさず、このネット社会において経済資本が投下されるのは広告としてのバイラルに他ならないことにも一因がある。
『いかに目立つか』『いかにヒトの目を集められるか』
逆を言えば『目立てばいい』のだ。あとはバイラル=口コミで自然に広まっていってくれちゃうからである。それがこれからの時代の広告である。
『口コミ』を集められる『話題性があるエンターテイメント』に莫大な金が投じられる時代なのだ。
photo credit: ctoverdrive
経済構造が変われば社会構造がそれによって変革する。
バイラル素材探しの矛先は従来『アーティスト』と呼ばれていた種族にも向けられるだろうし、『アーティスト予備軍』としての潜在的な芸術家の卵たちは、そんな時代の寵児が故に特に何の抵抗もなくその世界へ足を踏み入れるだろう。果てはそういった特異な表現をするクリエイターたちを集めた『アーティスト販売所』みたいな会社組織も生まれるだろう。
「そんなものをつくる奴はそもそもアーティストとは呼ばないだろうが!」
そんな声も聞こえてきそうだが、概念は時代とともに変化するもの。言葉の定義は一様ではない。
とりあえず細やかな部分はひとまず脇に置かせて頂きたく存ずるが、私にはこの「カストロール1号」的な流れが、アートの生態系の今後を考える上で避けては通れない一つの潮流のような気がしてならないのだ。
ENJIN BEATBOX by カストロール