鍛金の生命線-金槌-
鍛金の道具といえばやはり金槌です。
金槌で素材を叩くことで金属を加工するのです。まあ金槌と一言で言っても、そのバリエーションは数限りなくあり、基本は仕事/作業の内容によって約10種 類に大別されます。そしてその大小、好み、金槌を振るときの癖から手の大きさ、叩く金属の材質などによって無限にあるといえましょう。ちなみに私でも40 本位は持っていますので、職人さんなんかは100本は軽く持っているでしょう。
金槌は鍛金の生命線です。
一番左が「しめ槌」と呼ばれる金槌の中でも最も使用頻度の多いもの
叩く面の曲面のRも様々。この曲面は非常に微妙な違いが重要。
左がしめ槌、真ん中が均し槌、右が荒し槌
金槌はその形状もさることながら、叩く面の形と表面状態というのが大事です。
例えば上の写真の一番右側の金槌は「荒し槌」(あらしづち)と呼ばれる金槌で、表面にテクスチャーをつけてあるので叩くとその模様が金属に刻印されます。
一方真ん中の金槌は「均し槌」(ならしづち)と呼ばれ鏡面状態にしてあり、叩くと叩いた金属が鏡面状態になります。
これらは表現したいものによって使い分けます。
また叩く面の曲面具合も非常に重要です。
関連項目:悲鳴をあげたMY金槌
鍛金に必要な道具たち-当て金-
上の写真は「当て金」と呼ばれる道具です。
これは炭素鋼と呼ばれる普通の鉄よりも硬い、炭素を多く含んだ鉄でできたものです。
この当て金をしたの写真の木(木台と呼ばれます)に突き刺し、この当て金の上に金属の板材をのせ、その上から金槌でたたくようにして使います。
今回UPした写真では良くわからないかもしれませんが、金槌同様、様々な大きさの様々な形態をした、様々なR(曲面)のものがあり、作りたいカタチ、形状ににあわせて 使用します。
ちなみ写真の当て金は焼きいれをした直後のものです。
←これが木台。相当強い力がかかるので材質は硬い欅(ケヤキ)が好まれます。
空中で金属の板を金槌で打っても、カーンという音が響き、ボコッと凹むだけ。そこで板金の裏に支えを置くことで、 金槌の打撃を板金に確実に伝え、 少ない力で正確にカタチを成形させることができるのです。