書評空間-おすすめのアート・クリエイティブ本

現代アートに関するおすすめ本

芸術起業論

21世紀は工芸がおもしろい芸術起業論
村上隆著
幻冬舎
247ページ
2006年6月発売
    

現代アート作品を売るためには『欧米の文脈』にそって作品をつくり行動しなければならない

この本を一言で総括するならばこう言えるでしょう。
芸術が芸術足りえるためには、欧米のルールの中で作品を作ること。村上隆は本書の中で繰り返しそう訴えています。 この本には日本では決して知りえない、現実問題アートってなんなんだ?ということが書かれています。 多くの日本人にとって彼の主張と考えは恐らく受け入れがたいものかもしれません。 この本に書かれていることに対して反感すら覚えるかもしれません。

村上隆私は村上作品の意図はよくわかるしそのコンセプトはおもしろいと思うけれども、正直作品は嫌いだしとかく普段注目していない。彼の行動とやってのけたことについては尊敬しているし、本当にすごいと思いますけどね。
(彼のキュレーションと作品のために、あの手の作品が"日本芸術"と世界にインプットされてしまうことで、その文脈の作品にしか世界が目を向けなくなることが悩ましい。)

しかしそんな私ですが、本書芸術起業論での彼の発言はどれもこれも的を得ているものだとすんなりと理解しました。 本書の中で述べられているアート論はとてもロジカルで的確だし、彼のように生きているうちに成功したいと思うのであれば至極当然であろう 現代アートビジネス論が書かれています。村上隆は現代アートという世界に生き、 その中での"ごくごく当たり前のこと"を文章として羅列しているに過ぎません。 しかし日本においてこのような『当たり前』のことはだーれも口にしませんし、また書籍をいう形で世に出回ってはいません。というよりも誰も知らないのかもしれません。そしてその"当たり前のこと"は芸術を愛する日本の多くの人たちに反感を与えるであろうと思います。

要はアートは何か特別なものでもなんでもなくて『資本経済の名のもとで制作し続けなければならないという点においてはビジネスそのものなのだ』というある意味悲しい響きのする現実的な内容の本なのです。しかしそれはほとんど紛れもない事実とみなした方がアートの現場ではぴったりと当てはまるのです。

アートで生計を立てたいと思う方は必読の一冊(知識として知っておいた方がよいでしょう)、また現状分析から始まり、打開のための企画立案そして実践という村上隆の具体的な手法の件の部分などは、ビジネスマンが読んでもなかなかおもしろいのではと思います。。

もっと詳しく芸術起業論をcheck!

現代アートビジネス 現代アートビジネス
小山登美夫著
アートの仕事 アートの仕事
平凡社
pen『今世界にはアートが必要だ』 今世界にはアートが必要だ
阪急コミュニケーションズ
今日の芸術 今日の芸術
岡本太郎著
境界の美術史 境界の美術史
北澤憲昭著
絵の言葉 絵の言葉
小松左京、高階秀彌著
20-21世紀DESIGN INDEX 20-21世紀DESIGN INDEX 企画監修:水野誠一
ツーアート ツーアート
ビートたけし、村上隆著


関連テキスト

近代日本における「工芸」概念の形成過程
工芸空間ver.21世紀篇 / 工芸とはなんのか?
美術・工芸の誕生秘話
美術・工芸のてんやわんやな事情
金属工芸はあれから一体何を成し得たのだろう/in the 布団
工芸論という違和感
工芸に感じる新たな概念の存在形式

アート・デザイン関連のベストセラー